メンテナンス日和
- 2012⁄04⁄29(日)
- 20:41
フォルクローレには、代表格のケーナやサンポーニャの他にも 実に多種多様な楽器群が存在します。
笛類だけでも 細かく分けていくとすぐに5~60種類は超えてしまいますし、弦楽器や打楽器も中米各国まで含めた亜流になると 把握しきれない位の種類があるんです


その殆どが木の実や葦、動物の革・骨・甲羅までも含めた自然素材になりますので、定期的なメンテナンスが欠かせなかったりします。
モノによっては 放っておいたらすぐにカビが生えたり、虫がついたり・・・けっこう大変なんですよコレが (^^;)
ゴールデンウィークも始まりましたが、どうやらお天気はずっと安定という訳にはいかないようですし 九州・沖縄では既に入梅までした様子


降り出さないうちに―――と 普通なら洗濯でもする処ですが、持っている太鼓をまとめてメンテしちゃうことにしました。

これはアルゼンチン北部、パンパと呼ばれる大草原地帯で奏される太鼓 “ボンボ” ですね

元来アルガローボという豆科の大木を刳り貫いて、そこへ牛の毛皮を張っただけの 野趣豊かな太鼓です。
和太鼓に使われるケヤキほどではありませんが、かなり重いので 最近では薄い木材を曲げて胴体部分が作られたりします。
革は昔から変わらず なめしていない牛の毛皮が使われていますので、あまり湿気が籠もったまま放っておくと 毛が抜けたり虫がついたりして えらいことになる場合も


写真のボンボは 僕が30年近く前に南米各国でのライヴで使い、そのまま担いで帰ってきた 思い出深い楽器です。
年季が入りすぎて、重要なリズムを叩き出す木枠も かなりボロボロになってます。
ちゃんと保管していても やはり自然素材ですし、常に叩くものなので 先日の舞台でとうとう革が破れてしまい・・・(涙)
張り替えると言ったって 材料もそこらへんで普通に売ってるものじゃなし、枠や胴体の直径にも ちゃんとした規格がある訳ではないので、殆どオーダーメイドになってしまうんですね。
仕方ないので全部分解して、革の裏から別の伸縮性のある革素材で補修してあります。
シブ目の深い音も どうにか甦ってくれました


こちらはもう一台の まだ新しい大型ボンボ。
緩んだ革の張り直しと乾燥のついでに、真っ白でカワイくなかった胴体に インカ風の装飾を施してみました

実は、車の内装に使う 光沢のあるカッティングシートを使ってみたんですが・・・コレが結構高かったりする

この模様にすると、切り抜いた部分も他に使えてオトクなんですよ~ (って、ゼンゼン要らない情報ですね ^^;)

そして今回のメインイベント(?) 一番厄介なウァンカラ―――このメンテナンスには数日かかります。
写真では少し判りにくいんですが、とにかくデカい☆
打面では南米最大サイズになるボリビアの太鼓で、直径がチャランゴのサイズとほぼ同じ 約60cmもあります。
ちょっとマニアックになりますが、ボリビアのティンクやアルゼンチンのビダーラ、エクアドルのダンサンテなどの曲に使うと 迫力と深みがあって シブいですね (^-^)
木枠が無く、革に穴を開けて直接ヒモで締めるとゆー 実に乱暴なタイプの作りになってます


これもかなり古いもので 革も緩んでベコベコになってましたので、メンテもかなり乱暴

一旦全部バラして 革の裏から思いっきり水を注ぎ、湿って柔らかくなっているうちに 力任せに締め上げていくんです。
乾いてからも何度も締め直さねばなりませんし、時間も手間も呆れる程かかりますけど・・・
自分の手で楽器として良い音に甦って、また活躍してくれるのは やはり嬉しいものです♪

どんな音になったのか、また舞台で注意して聴いてみて下さいね~。
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- 音楽・楽器