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カリブ海の真珠 【2】

見事な大逆転で人民開放革命をやってのけたフィデルとチェでしたが、その後の国家再建には 茨の道が待っていました。
主要な産業も確立されていない状態で 国民を養っていかねばならないのですから、そりゃ大変なんてもんじゃありません
おまけに独立以来、アメリカ資本主義の庇護の下でとはいえ 何とか国家体制を維持してきたバチスタ政権を、その手で倒してしまったんですから・・・
つまりはアメリカ合衆国にも真っ向からケンカを売ってしまった格好で、莫大なお金が必要となる局面なのに 国際的にも孤立無援状態になってしまいます★
そこで手を差し伸べたのが、当時はまだアメリカと冷戦状態にあったソヴィエト連邦。
破格の安い値段で石油を提供し、サトウキビなどの農作物も高額で買い取るという この願ってもない条件を、キューバは社会主義体制国家になる事と引き換えに受諾してしまいます。
フィデルもチェも、最初から社会主義国家を目指していた訳ではないんです

これで国家体制は一応の安定を見せ、医療や教育・福祉などの充実にも理想と言われるほどの成功を果たします。
ソ連にしてみればもちろん親切心などではなく 素晴らしい社会主義体制をアメリカに見せ付けるチャンス、言わば目の前に豪華なショーケースを作りたかっただけの話なんですけどね。

当然ながら 面白くないのはアメリカ合衆国★
今まで散々支援してきた中南米支配の拠点を失った上に、一番近い場所―――まさに裏庭に社会主義国家が出来るなど、許せるものではありません。
中南米諸国への経済制裁の見せしめと対ソ連の牽制手段として 国交を断絶したばかりか、裏ではCIAが物騒な暗躍をすることになってゆきます。(尤も、このフィデル暗殺計画は 悉く失敗に終わりましたが)
つまりキューバは ベトナムや朝鮮半島と同じで、アメリカとソ連の覇権争いに利用されただけでした。
その睨み合いがピークに達したのが、全世界を震撼させた キューバ危機だった訳ですね。
幸いにして核戦争の勃発だけは回避されましたが、あそこまで一触即発状態になったのは 人類史上初めてのことでした。

月日が経ちソ連社会主義は崩壊、東西冷戦という単語が過去のものになってからも キューバとの国交断絶と経済制裁は続きます。
日本のメディアでは報じられないので 殆ど知られていないのですが、同じ社会主義国家という立場で ソ連に変わって中南米への経済支援、武器供与などを継続的に行ってきたのは 実は中国なんです
過去には北朝鮮も、キューバに弾薬などの提供を行っていたことがあるんですが・・・中国はケタが違います。
ここ10年ほど中南米各国に無償の資金提供を続け、実効支配を強める傍ら つい最近キューバには石油と資金を援助する代わりに ミサイル搭載艦を常駐させる交渉までしていました。
オバマさんが慌てて国交正常化に向けた動きを見せ始めたのも、ちょうどその頃です。
大統領としての任期終了が迫る中でのレジェンド(実績)作りだと言われていますが、裏にはそんな事情もあった訳ですね★
誰が考えても、第二のキューバ危機になるのは目に見えていますから・・・

大国同士の勢力争いに利用されて巻き込まれ、その国の歴史まで変わってしまう。
古代から世界中で繰り返されてきた構図ですが・・・人間ってヤツはまったく、少しも進歩していないんですね~。
これは決して他人事じゃありません、敗戦後の日本が奇跡的な復興と発展を遂げられたのも 言ってみればアメリカ資本のお陰。
日本はソ連の目の前に飾られた、アメリカのショーケースでしかなかったのかも知れないんですから

世界中あちこちで紛争に首を突っ込むことに懲りたアメリカも、中国の横暴や今の国際情勢を受けて 再び目立つ外交に動き出さざるを得ませんでした。
まぁハッキリ言って、日本の安全とか拉致問題なんかは アメリカにとってどーでもいい事なんですよ。
北朝鮮との国交ですら、日本の意向は無視して 回復させる方向へ進む可能性が出てきてるんですから・・・
そんな中で 不自然に急がれている安保法案―――対中国でアメリカと日本の利害が一致しているうちはいいですが、各国の出方次第では 日本は確実に置いてけぼり、ヘタすりゃアメリカと中国 両方の踏み台にされちゃう事態だって考えられます。

何処か立場の似ているキューバと日本・・・既に遠いカリブ海のニュースでは済まなくなってきているのかも知れません★
今こそ、中南米諸国との絆が最重要課題になってくる! と思ったりもするんですケドね (-.-;)

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文化・歴史