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デジタルの功罪(3)

前述で CDはデジタル化される時に、音を一旦全て数値と合成された電子音に置き換えてしまう、という話をしました。
しかしそれを知った処で、注意深く聴いていても全く判らない程クオリティの高い再現力はあるし 名曲の感動も変わりません。
音質も実にクリアで 劣化したりもしませんし、更に軽くてコンパクト…何の問題もないように思えます。
ただ ひとつだけ知っておかねばならない事は、レコードとの差が単なる録音方式――アナログとデジタルの違い――だけでは無い、という事です。

人間の耳は非常に優れた聴覚器官で、自然界にある約20Hzの低音から 上は20000Hzの高音まで、滑らかに聞き取る事が出来ます。
これを「可聴域」といい、それ以外の 20Hzより下の低い振動音を“低周波”、20000Hz以上の高い音を“超音波”と呼んでいます。
これらの 「耳に聴こえない範囲の音」 は、実は近年 脳科学の分野でも一躍脚光を浴びる研究対象となっているんです。
一時期 「1/f ゆらぎ」 と呼ばれ、家電製品などにも取り入れられたリズム原理と共に 人間の脳波に様々な影響を及ぼしている事が判ってきています。

その中でも一番広く知られているのが、アルファ波と呼ばれるものです。
これは人間の睡眠などにも関わる重要な脳波なんですが・・・
簡単に言ってしまえば 、人間が一番心地良く リラックス出来る状態の時にのみ発せられ、血流の正常化や筋肉・骨の再生、更には免疫力の回復にも絶大な効果が認められるという 不思議な脳波です。

生の楽器の音や人間の声には、音の高さを示す 「基音」 の他に 可聴域を超える複雑な 「倍音」 というものが含まれています。
この超音波とも呼ばれる倍音が、実はアルファ波を引き出すスイッチになっているんですね。
静かな音楽を聴いて 優しくゆったりした気分や清々しい気持になるのは、このアルファ波のお陰・・・ということになります。
ところが 音がデジタル化される過程では、この可聴域以外の大切な 「聴こえないエッセンス」 が、何とバッサリと切り捨てられてしまうんです。

デジタル化したデータを元の音に戻す時には、どうしても 「折り返しノイズ(モアレ)」 と呼ばれる歪みが発生してしまいます。
それを是正する為に行われる“フィルタリング処理”が原因なのですが、要するに大切な筈のエッセンスを切り捨ててしまわないと、再生された音が歪んで 雑音になってしまうという事です。
まるで見た目を白くてキレイな米にする為に 胚芽の栄養分を全部捨ててしまうような話ですが・・・これで人間が心底リラックス出来る 本当の音楽が、果たしてちゃんと聴けていることになるんでしょうか?

僕は昔から、CDは 「動物園」 のようなものじゃないかと考えています。
前述のような 音のエッセンスも生演奏とは違うでしょうし、そもそも すぐ隣で呼吸まで感じながら一緒に演奏する普段のライヴ感と、メンバーがそれぞれの録音ブースに別れ 雑音の入らない一人の空間で演奏するのとが イコールになる筈もありません。
生の舞台、目の前で演奏される音楽には 音がカスれたり間違えたりする危険性も含めて、常に音楽本来の 「野生」 があるんです。
CDはそれを、一番整ったキレイな形で見て貰う 展示スペースのようなもの。
動物園では、危険な野獣を子供でも 近くでゆっくり見る事が可能ですし、遠いアフリカまで行かずとも 手軽に大自然を感じることが出来ます。
でも狭い檻に閉じ込められ 毎日餌を与えられるその状態を 野生と同じだと思い込むことは、やはり間違った見方と言わざるを得ないでしょう。

音楽をCDで聴くことも、結局同じなんだと思います。
決して野生の音をそのまま伝えられるツールだとは思わないけれど、全く行った事のない遠い場所にも 手軽に我々の音楽を届ける事ができる素晴らしさがあるのも確かです。

何が本物と呼べるのか、果たしてアナログは万能薬なのか、そしてデジタルの氾濫は人間の感性にどういう影響を及ぼしてゆくのか・・・
どれも簡単に答えの出せる性質の問題ではなさそうですが、流れに掉さす人間が多い世の中 激流の川底に棹を突き立てて踏ん張り、暫く考えてみるぐらいの余裕は 常に持ち続けたいと思っています。
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音楽・楽器

Comment

コワイのは

本来1番アナログであるべき『個人』が、デジタル的な思考になってしまうコトかな。

濁流の中でも『故に我有り!!』と言えるうちは、多少流されてもダイジョブかも
一旦岸に上がって、流れそのものを疑うのもまたよし。

子供は、その辺意外とタフかもよ
流されやすくもあるけど
岸から突き出た何かを『何だコレ?』って、ひとまず掴んでみるから。
アリジゴクの新発見も、子供ならでは!!だったしね。

問題は、横から
『そんな小枝掴んじゃ駄目だ!!』
って言っちゃう大人が多いコトなんだよなぁ…
  • 2011⁄02⁄21(月)
  • 08:51

幸いなのは

普段の生活の中ではまだまだ生音の方が多い、ということかなー。生まれる前なんかは、アナログの局地の状況だもんね

しかし、ひきこもっちゃったりして、ネットとデジタル音にかこまれて、自分の声すら聞かずに過ごす人もいるかもね…デジタルの胎内で過ごす…とどうなるんだろ。国家プロジェクトとして真面目に研究して欲しい分野です。お花さんの言う通り、個人のデジタル化が始まりなのかな…
  • 2011⁄02⁄21(月)
  • 11:20

Re:> お花ちゃん

そなのよ★  結局言いたいコトはそこにあってね、また別の記事にもするつもりだけど。。。
大人は自己責任で、進んで騙されて楽しめるだけのスタンスを既に持ってるからいいんだ。
でも、子供に最初からデジタルの選択肢しか与えないという怖さは認識しとかなくちゃいけないと思う。
音源やゲームもそうだし、大人の社会常識ってヤツも デジタルなんだからね~。

  • 2011⁄02⁄21(月)
  • 15:48

Re:> 鴨之橋ちゃん

国家は 国民均一デジタル化の方が統制しやすいんだから、期待できんでしょな~ (^^;)
呑気に看過してるうちに、カルト集団のテロや歩行者天国の無差別殺人に結びついて 初めて慌てだすのが関の山。
デジタル音源しか聴いたことのない子供の脳が これからどう育ってゆくのか、臨床データも無いしね★
杞憂に終わればいんだけど・・・もう始まってるのかも。

  • 2011⁄02⁄21(月)
  • 16:02

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