荒ぶる神の力

今年のツアーでも、北海道に上陸するまでに 東北被災地での激励慰問演奏を行う機会に恵まれました。
今回訪れたのは岩手県、宮古市。
「万里の長城」 と呼ばれた 海抜10mにも及ぶ鉄壁の防潮堤を誇り、防災モデル地区でもあった海岸沿いの田老町を襲ったのは 16m以上の大津波でした。
町は壊滅し、地区だけで120名もの犠牲者を出した場所は 未だに荒涼たる野原が続く風景から脱してはおらず、我々が訪れた仮設住宅も広大な敷地を有していました。

現在もそこで暮らされている 被災した方々の数が全部でどのくらいなのか、訊いてはいませんでしたが・・・
仮設ステージも無い駐車場の一角での ゲリラライブという形になり、思ったほど多くの方に聴いて頂けなかったのが 何とも残念でした
現地での宣伝も難しい中 我々も移動の時間的制約などがあり、演奏が平日のお昼になってしまったことも影響したんでしょうね。
それでも 聴いて下さった方々からは口々に賛辞と感謝の言葉を頂き、帰りにはお土産まで持たせて頂きました

横付けしたトラックに楽器を積み込み 控え室へ戻る途中、バス停のベンチに腰掛けたお年寄りに声を掛けられました。

「あんた・・・さっき広場で演奏してた人だね? 音楽なんて本当に久しぶりに聴いたよ、ありがとう」

そういえば、演奏の準備をしていた時から ずっと同じ場所に座られていたような―――

「有難うございました。 おじいさん、ずっとバスを待たれてるんですか?」
「行く処なんかありゃせんよ、ここは日当たりも風通しもいいからね、一日殆どここに座ってるんだ」

まるで動かないブックエンドのように、ベンチに座って日暮れを待つ・・・サイモン&ガーファンクルの唄を思い出しました。
僕も撤収で時間がありませんでしたし あまり詳しくはお話も出来ませんでしたが、やはりあの大津波で住む家と御家族をなくされたようでした。
義援金や政府からの保障で 生活するには何も困らない、でも一日中することもなく 行く場所も居る場所もない・・・
そして帰る場所すら奪われた このご老人を目の前にして、国会議員や電力会社のお偉方は 同じ事を言えるんでしょうか?
「国民生活の安定と経済復興の為、極力原発は再稼動の方向で検討します」 と★

古来日本の神々は、1つの存在に4つの側面を持つ (一霊四魂) と言われてきました。
◆人間に富や豊穣をもたらす     『幸御霊(さきみたま)』
◆健康や優しさ、愛をもたらす     『和御霊(にぎみたま)』
◆知識や不思議な現象をもたらす   『奇御霊(くしみたま)』
◆破壊や死をもたらす          『荒御霊(あらみたま)』
本来神社は一人の神様に対して四つ設けられ、それぞれの御霊を祀っていたんです。
例えば住吉神社は 上筒之男命・中筒之男命・底筒之男命という住吉三神を祀っていますが、有名な大阪の住吉大社は その和御霊だけを祀っています。
各地にある 「若宮」 という名前も、四魂のうち 荒御霊を祀っている神社のことを指します。
神様は、決して願い事を聞いて幸せにしてくれるだけの 生易しい存在ではない訳ですね。

決して原子力が神の力だとか言っている訳ではありませんが―――何処か似ているとは思いませんか?
目先の御利益ばかりを願って 都合のいい時だけ拝み、荒御霊の存在をすっかり忘れている現代人。
そして死と破壊をもたらす側面を、勝手に科学の力で 「制御」 出来ると信じ切れるようにまでなった人類。
検証を重ね、安全だと言い切る人たち・・・ 一体彼らに、どんな形での責任が取れるというのでしょう。
それこそ神でもない限り、誰一人として 起こった惨事への責任なんて取りようがないと思うのですが・・・

あのご老人、今日も同じバス停で 変わらない風景を眺めてるんでしょうか。
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雑記・日常

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