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笛吹神社

演奏という仕事は 決まった職場へ毎日通うのとは違い、殆ど毎回 仕事場が変わるのが普通です。
まぁ海外公演はちょっと極端な例だとしても、時には数日がかりで何百kmという遠方にまで赴く場合も さほど珍しいことではありません
楽器を持っての演奏旅行というのが 子供の頃からの夢でしたので (尤も、当時 持って行くつもりだったのはトランペットでしたが) 多少移動に苦労しようとも やはり楽しいものです。
ただ仕事である以上、全く行った事もない場所へ迷わず遅れずに辿り着く事が 絶対条件にもなりますので、楽器や衣装と並んで 地図は必須アイテムだったりするんですね。

小学生の頃からボーイスカウトで 知らない場所へトレッキングやキャンプで訪れることも多かったお陰か、幸いなことに 今でも地図を見るのは大好きな作業のひとつです。
現地を確認している最中に 「蛇穴」 とか 「水鏡」 なんていう曰くありげな変わった地名を見つけたりするのも、なかなか楽しい余禄なんですね~コレが
大抵の場合人間は 興味のない事象には全く反応しないものですが、反対に 自分の仕事や趣味に関する漢字・単語に関しては 人一倍敏感だったりします。
僕の場合 音とか響・楽といった漢字、考古学や民俗学にまつわる言葉は、あたかも文章の中でそれだけが太字の表記になっているかの如く 必ず目に飛び込んでくるんです。
しかも見つけてしまったからには、その歴史や名前の由来まで詳しく調べあげないと気が済まない 実に困った性分
それにまつわる史跡などが近くにあれば、仕事の当日であろうが時間の許す限り 回り道してでも実際に訪ねたりします
だって、二度と行かないかも知れない場所だし 面白そうなのに勿体ないですよね・・・って もしかして僕だけかな、そんなヤツ

奈良に葛城という古色ゆかしい土地がありますが、以前その近くで演奏があって いつものように辺りを探っていた時のこと―――ご多分に漏れず 仕事の現場よりも先に見つけてしまった地名がありました。
「笛吹」・・・(^^;) こりゃ僕の場合 いたく興味を惹かれてしまっても仕方ありませんよね☆
元々古代の朝廷では、神を祀り国家安泰を図る為の専門職が これでもかという程に細分化されていました。
その集団は代々世襲制で 「連(むらじ)」 と呼ばれ、それぞれが卜占や神服(かみはとり)、神饌(神様の食事)を専門に担当する人々でした。
その中で、神事に関する音楽部門を担当していたのが 「笛吹連(ふえふきのむらじ)」 という一族。
この地は崇神天皇の御代といいますから 今から2100年ほども前になりますが、彼らの本拠地だったんですね  
そしてこの葛城山麓には 代々の古墳群と共に、何と彼らの祖神を祀った 『笛吹神社』 なるものが!!

笛吹神社鳥居


調べてみると やはり尺八やフルートなどを生業とする方たちが、技能上達を願って 全国から奉納に訪れるとのこと。
こりゃぁ仕事をキャンセルしてでも (いや、イカンイカン) 是非とも訪れない訳にはいきません。

・・・とは言え残念ながら 結局当日には時間が取れませんでしたので、後日改めて ケーナとサンポーニャ、そして勿論 磐笛の天頼も連れて奉納演奏に赴いてきました。
衣冠束帯に身を包んだ禰宜の先導のもと 一人拝殿に上げて頂いて、玉串奉納・祝詞と御祓いの後 曲の奉納・・・神前での結婚式を挙げられた方でも、恐らく一生に一度あるかないかという 厳粛な場面ですよね
これはハッキリ言って、大ホールで 二千人のお客さんを前に演奏するより よっぽど緊張してしまいます

とても暑い日でしたので 緊張も手伝って汗だくになってしまいましたが・・・演奏中の一時 何とも爽やかな風も吹いてくれて、凛とした空気の中 とても気持ちよく奉納を終えることが出来ました。
そもそも御神体が 天皇から賜った 「天磐笛(あまのいわぶえ)」 であるという笛吹神社。
天頼の音色とも 良い共鳴を生んでくれることを願いながら・・・

DSCF1057web.jpg


無事に奉納をさせて頂いてから、宮司さんに神社の詳しいご由緒や 御神体についてのお話も伺うことができました。
数年前に一度 本殿の改修があったらしいのですが、御神体を含めた宝物の移動に携わられた際には 厳正な式次第の下、真夜中に明かりも点けずに行われたそうです。
二千年以上も守り続けられてきた御神体―――宮司といえども、それを軽々しく目にすることなどは 固く禁じられているのですね
“天磐笛” というこの世ならぬもの、あわよくば見せて頂ける機会も・・・なんて、とんでもなく甘い考えだったわけです (^^;)ゝ

『良い風が吹きましたね・・・ここは各地から 笛の演奏に携わる方々が奉納に来られる場所ですが、本当に神様に音を届ける事の出来る方の時には 演奏中に必ず本殿に向かって風が吹くんですよ』

・・・と、お世辞でも嬉しいお言葉も頂きました (宮司さんに お世辞を言う理由があるとは思えませんが
そして お話をさせて頂いている最中、あれほど晴れ渡っていた夏空に 地響きのような遠雷が ゴゴ~~ン。
その途端、宮司さんは 『あぁ、呼ばれましたね』 と静かに微笑まれました。
何のことやら解らずにポカンとしている僕に、諭すような一言が付け加えられます。

『笛吹神社というのは通称で、正式には “葛木坐火雷神社(かつらきにいますほのいかづちじんじゃ)” と申します』

御祭神の天香久山命(あめのかぐやまのみこと)は、巌戸隠れをしたアマテラスオオミカミをお慰めする為に 天磐笛を吹いたというだけでなく、雷を司る神でもあったわけで・・・すみません、事前の勉強不足もいいところでした
まぁ とりわけ暑い日でしたし、大気が不安定で突然の雷雨があったとしても 何の不思議もない!と言ってしまえばそれまでなんでしょうけど (^^;)

ちょっと不思議な 夏の一日ではありました。  
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